第 2 部・基本の編集 / 2.1

ファイルを開く・タブ・保存

ファイルを取り込み、タブを行き来し、安全にディスクへ書き戻すまで。アトミック保存、外部変更の検出、そして S/Y/N を尋ねる 3 つの確認行についても説明します。

所要時間 約 14 分 対象 すべての利用者 前提知識 1.3 バージョン v1.0 ・ 2026-08-26
2.1.1

ファイルを開く 4 つの方法

コマンドラインから渡すか、エディターの中から呼び出すか。

方法動作
起動時にファイル名erya a.txt b.txt。1 ファイル 1 タブで、最初のタブから始まります(1.2.5 参照)。
Ctrl+O ファイルダイアログ矢印キーで辿れる一覧が出て、選んだファイルは新しいタブで開きます。
Ctrl+N 新規タブ無題の空文書を開きます。名前は最初の保存で決めます。
F12 名前を付けて保存いまの内容を別名で保存します。以降このタブは新しいファイルを扱います。元のファイルはディスクに残り、このタブからは触りません。
同じファイルは二重に開きません

開こうとしたパスがすでにタブにある場合、Erya はそのタブへ切り替え、「報告.txt はすでにタブで開いています」と表示します。2 つのタブで別々に編集して互いに上書きする、という事故を防ぐためです。

2.1.2

ファイルダイアログの操作

5 つのキーで足ります:上、下、入る、親へ、キャンセル。

爾雅 Erya │ ファイルを開く │ /home/leo/docs
↑/↓ 選択 Enter/→ 開く ←/Backspace 親へ Esc/Q キャンセル
┌────────────────────────────────────────────┐ │ 📂 .. │ │ 📂 archive │ │▶ 📂 drafts │ │ 報告.txt │ │ 付録.md │ │ nginx.conf │ └────────────────────────────────────────────┘
/home/leo/docs │ 3/6
↑/↓ 選択 Enter/→ 開く ←/Backspace 親へ Esc/Q キャンセル
キー動作
↑ ↓項目を選びます。枠より長い一覧は自動でスクロールします。
PageUp PageDown1 ページずつ移動します。
Home End一覧の先頭/末尾へ。
Enter または →ディレクトリなら入り、ファイルなら開きます。
← または Backspace親フォルダーへ。戻ると、いま出てきたフォルダーが選択されています。
Esc または Qキャンセルして編集に戻ります。
  • ディレクトリには 📂、ファイルには空白が付くので、見た目でまとまります。
  • 並び順はディレクトリが先、ファイルが後で、それぞれ名前順(大文字小文字を区別しません)。
  • 先頭の .. は親フォルダーで、← と同じです。
  • 選択行は灰地に黒+▶です。
  • ステータス行に現在のディレクトリと「何番目/全何件」が出ます。
  • ダイアログは現在の文書があるディレクトリから始まります。無題の文書なら作業ディレクトリです。
Esc はキャンセルで、親へは戻りません

多くのファイラーと違う点です。親へは ← か Backspace。Esc はダイアログ自体を閉じます。Erya の Esc はどの画面でも「この画面から出る」で、ここも例外ではありません(1.3.7 参照)。

2.1.3

タブ:新規・切り替え・閉じる

4 つのキー。結果は 1 行目で確認できます。

キー操作補足
Ctrl+N空のタブを追加無題の文書を作り、そこへ切り替えます。
F10次のタブ最後まで行くと先頭へ戻ります。
F9前のタブ逆方向にも回ります。
F11このタブを閉じる未保存なら先に確認します(2.1.8 参照)。
最後のタブを閉じても終了しません

Erya は必ず 1 つはタブを残します。最後の 1 つを閉じると新しい無題の文書が残ります。終了するには Ctrl+X を押してください。

終了時、Erya は背景のタブも 1 つずつ確認します。未保存があればそのタブへ切り替えて尋ね(S 保存/Y 破棄/N 戻る)、すべて片付いてから終了します。「保存したつもりが 3 つ目のタブだけ保存していなかった」ということは起きません。

2.1.4

タブごとに保持されるもの

ほとんどはタブ単位。共有されるのは 2 つだけです。

タブごと

  • カーソル位置とスクロール位置
  • 選択範囲と選択の種類
  • 元に戻す/やり直す履歴(各 100 手)
  • 直近の検索文字列と置換文字列
  • 挿入/上書きモード
  • 折り返し表示の有無
  • 文字コードと改行コード
  • 段落幅

すべてのタブで共有

  • クリップボード——タブ A でコピーしてタブ B に貼れます
  • キープロファイルと表示言語——システム設定で変えると全タブに同時適用(4.2.2 参照)

定型文とマクロはファイルに保存され、読み込むと現在のタブで有効になります(2.4.5 参照)。

ファイル間の移動はこうします

ファイル A で選択して Ctrl+C、F10 でファイル B へ、Ctrl+V。ただし Erya のクリップボードは内部のもので、システムのクリップボードとは別です。他のアプリとやり取りするにはターミナル自身のコピー&ペーストを使います(2.2.7 参照)。

2.1.5

保存と名前を付けて保存

Ctrl+S は元のファイルへ、F12 は別のファイルへ。

  1. 名前のある文書:Ctrl+S でそのまま書き込み、メッセージ行に「… を保存しました」、1 行目のアスタリスクが消えます。
  2. 無題の文書:Ctrl+S を押すと自動的に「名前を付けて保存:」の入力行が出ます。名前を入力して Enter。F12 に押し替える必要はありません。
  3. 名前を付けて保存:F12 は現在のパスを初期値として出します。書き換えて Enter。以降このタブは新しいファイルのものになります。
Enter 確定 Esc 取消 ←/→ カーソル移動 Backspace/Delete 削除
名前を付けて保存:/home/leo/docs/報告-控え.txt
  • 入力行では ← →、Backspace、Delete が使え、長いパスは自動でスクロールします。
  • 空のまま Enter を押すと「ファイル名を入力してください」と出て、もう一度尋ねます。
  • 既存のディレクトリを指定すると「文書をディレクトリとして保存できません」で失敗します。
  • パス途中のディレクトリは存在している必要があります。Erya は作成しません。
2.1.6

保存時に実際に起きること

元のファイルに直接書くのではなく、一時ファイルを作って差し替えます。

① 一時ファイル 同じディレクトリに書く ② 書き出し確定 本当にディスクへ ③ 名前の差し替え 1 手で入れ替える ④ 権限を戻す Unix では元のモード どの段階で失敗しても、元のファイルは保存前のままです。半端なファイルは残りません 同じディレクトリに置くのは、そうしないと差し替えが原子的にならないからです
図 2.1.1 アトミック保存。停電、ディスク不足、プロセス強制終了——どれでも直前の版がそのまま残ります。
  • 一時ファイルは必ず元と同じディレクトリに作られます。したがってディレクトリ自体に書き込み権限が必要で、ファイルだけ書けても保存できません。
  • Unix では元の権限が保たれます。設定した chmod は戻されず、スクリプトの実行ビットも残ります。
  • UTF-8 での保存は分割ストリーム書き込みなので、大きな文書でも保存のために全文をメモリーへ複製しません。
  • 保存時に文字コードと改行コードの変換も一緒に行われます(3.1.2 参照)。
2.1.7

他のプログラムに書き換えられたら

Erya は 250 ミリ秒ごとに見ており、あなたが編集したかどうかで対応が変わります。

編集していない場合

自動的に再読み込みし、「外部更新を検出し、ファイルを安全に再読み込みしました」と表示します。画面は常に最新の内容です。

よくある場面:別ウィンドウで保存した、git pull で置き換わった。

編集している場合

あなたの内容は上書きされません。まず「ファイルが外部で変更されました。保存前に確認が必要です」と警告し、Ctrl+S を押した時点で赤い確認行が出ます。

よくある場面:自分が編集中に、同僚も保存した。

外部ファイルが更新されています:[O]上書き、[R]再読込、[N/Esc]取消
キー操作結果
O上書き手元の版で上書きします。ディスク側の変更は失われます。
R再読込編集を捨てて読み直します。入力した内容は失われます。
N / Esc取消何もしません。両方の内容が残るので、別名保存してから落ち着いて処理できます。
迷ったら N、そして F12

O も R もどちらかを捨て、元に戻せません。安全なのは N で取り消し、F12 で別名保存し、F4 の比較機能で統合する流れです(3.4 参照)。

自動再読み込みで履歴が消えます

未編集の文書が再読み込みされると、元に戻す/やり直す履歴も一緒に消えます。古い手順は新しい内容に当てられず、当てれば壊すからです。意図した動作ですが、最初は必ず驚きます。

2.1.8

未保存のまま終了しようとしたら

止められる場面は 2 つ。どちらも S/Y/N で答えます。

文書は未保存です:S 保存して終了/Y 破棄/N 編集に戻る
タブは未保存です:S 保存して閉じる/Y 破棄/N 編集に戻る
キー動作
S保存してから終了/閉じます。名前が無ければ先に尋ねます。
Y変更を破棄して進みます。これ以降は取り戻せません。
N / Esc取り消して編集に戻ります。
Y は「はい」ではなく「破棄」です

問いを見て反射的に Y を押すのが、いちばん内容を失いやすい操作です。Erya の Y は常に「変更を破棄」で、保存は S です。3 つの確認行はどれも各文字の意味を同じ行に書いてあります。押す前に読んでください。

2.1.9

よくあるつまずき

開く・保存まわりで多い 6 つです。

症状原因と対処
「保存に失敗しました:Permission denied」ファイルまたはディレクトリに書き込み権限がありません。アトミック保存は同じディレクトリに一時ファイルを作ります(2.1.6)。
「保存に失敗しました:No such file or directory」パス途中のディレクトリがありません。先に mkdir -p を(2.1.9)。
「文書をディレクトリとして保存できません」保存先に既存のディレクトリを指定しています。ファイル名を足してください(2.1.5)。
「ファイル名を入力してください」空のまま Enter を押しました。もう一度尋ねられます。
古い版を編集していた開いたあとに外部で変更され、警告を見落としています。N で取り消し別名保存を(2.1.7)。
元に戻すが効かなくなった直前に自動再読み込みが起き、履歴が消えました(2.1.7)。