第 1 部・Erya を知る / 1.2

インストールと起動

7 つのプラットフォームでどのアーカイブを選ぶか、展開したあとどこに置くか、ソースからの導入方法、そしてコマンドラインのオプションと環境変数が何を制御するのかをまとめます。

所要時間 約 10 分 対象 はじめて導入する人 前提知識 なし バージョン v1.0 ・ 2026-08-26
1.2.1

2 つの導入方法

できあいの実行ファイルを落とすか、Rust でビルドするか。

① リリースをダウンロード(推奨)

GitHub Releases から自分のプラットフォーム用アーカイブを取得します。展開すると実行ファイルが 1 つ。他に入れるものはありません。

  • 7 プラットフォーム分がビルド済み
  • SHA-256 付き
  • PATH には自分で置きます

② ソースからビルド

Rust があれば cargo install 一行で済み、更新も楽です。

  • Rust 1.85 以降が必要
  • Cargo の bin ディレクトリに入り、たいてい PATH 済み
  • 初回ビルドに数分かかります
Erya は実行ファイル 1 つです

インストーラーもサービスもレジストリ登録もなく、設定があちこちに散ることもありません。自分から読むのはキープロファイルだけ(4.1.7 参照)で、それが無くても問題なく動きます。自分から書くのは、あなたが保存した文書と、あなたが指示した定型文・マクロの JSON だけです(2.4.5 参照)。削除は実行ファイルを消すだけです。

1.2.2

プラットフォーム別のアーカイブ

まず自分の CPU を確かめ、それからファイル名を選びます。

github.com/walisayu/erya/releases/latest から .tar.gz を 1 つ選んでください。

システムアーキテクチャRelease target(ファイル名の中の文字列)
LinuxIntel/AMD 64 ビットx86_64-unknown-linux-gnu
Linux/Raspberry Pi OS 64 ビットARM64aarch64-unknown-linux-gnu
Raspberry Pi OS 32 ビットARMv7 hard-floatarmv7-unknown-linux-gnueabihf
macOSIntelx86_64-apple-darwin
macOSApple シリコンaarch64-apple-darwin
WindowsIntel/AMD 64 ビットx86_64-pc-windows-msvc
WindowsARM64aarch64-pc-windows-msvc

どれか分からないとき

  • macOS:uname -m を実行。arm64 なら Apple シリコン、x86_64 なら Intel。
  • Linux/Raspberry Pi:同じく uname -m。aarch64 → ARM64、armv7l → ARMv7、x86_64 → Intel/AMD。
  • Windows:設定 → システム → バージョン情報 → システムの種類。
Raspberry Pi は CPU ではなく OS で選びます

Pi 4・5 の CPU は 64 ビットですが、Raspberry Pi OS には 32 ビット版もあります。システムが 32 ビットなら ARMv7 を選んでください。ARM64 は動きません。uname -m が示すのはシステム側の値なので、これがいちばん確実です。

1.2.3

検証して PATH に置く

展開すると出てくるのは 1 ファイル:erya(Windows は erya.exe)。

各アーカイブには同名の .sha256 が付き、リリースページには SHA256SUMS もあります。壊れていないか確かめるには:

システムコマンド
macOSshasum -a 256 erya-*.tar.gz
Linuxsha256sum -c erya-*.tar.gz.sha256
Windowscertutil -hashfile erya-*.tar.gz SHA256

表示された値が .sha256 の中身と一致すれば大丈夫です。あとは PATH の通ったディレクトリに置きます。

システムよく使う場所
macOS/Linux(自分だけ)~/.local/bin または ~/bin
macOS/Linux(全員)/usr/local/bin(sudo が必要)
WindowsC:\Tools を作り、環境変数の Path に追加
macOS は初回に止められます

ネットから落とした実行ファイルには隔離属性が付き、「開発元を検証できないため開けません」と表示されます。属性を外してください:

xattr -d com.apple.quarantine ~/.local/bin/erya

または「システム設定 →『プライバシーとセキュリティ』」で一度「このまま開く」を押します。署名のないプログラム全般に対する挙動で、Erya に固有のものではありません。

1.2.4

ソースからの導入

Rust 1.85 以降が必要です。

rustc --version で確認し、無ければ rustup で入れてください。あとはプロジェクトのディレクトリで:

コマンド内容
cargo run --release -- [ファイル]ビルドして 1 回実行。インストールはしません。-- の後ろだけが Erya に渡ります。
cargo install --path .ビルドして erya を Cargo の bin(通常 ~/.cargo/bin)へ入れます。
erya [ファイル]導入後はこれで起動します。
-- を忘れずに

cargo run --release 報告.txt は失敗します。Cargo が自分の引数だと解釈するためです。cargo run --release -- 報告.txt と書いてください。2 つのハイフンが「ここから先はプログラム用」という意味になります。

1.2.5

起動:ファイル名あり・なし

0 個でも 1 個でも複数でも構いません。

コマンド結果
erya無題の空文書を 1 つ開きます。最初の保存時にファイル名を尋ねます。
erya 報告.txtそのファイルを開きます。存在しなくてもエラーになりません。空の文書が開き、最初の保存で作成されます。
erya a.txt b.txt c.txt3 つのタブを開き、最初のタブから始まります。
erya -- -変な名前.txt-- 以降はすべてファイル名として扱われ、オプションになりません。
erya あるディレクトリ失敗します:「… はディレクトリであり、テキストファイルではありません」。中を見たいときは起動後に Ctrl+O を(2.1.2 参照)。
シンボリックリンクの場合

Erya はリンクを実体のパスに解決してから開き、保存も実体へ書き戻します。リンクを通常ファイルで置き換えることはありません。~/.zshrc のようにリンクであることが多いパスでも、期待どおりに動きます。

1.2.6

コマンドラインオプション

5 つ。どれも「何かを表示して終了」か「設定を差し替える」ものです。

オプション内容
-h, --helpヘルプを表示して終了。使い方・オプション・環境変数・よく使うキーが載り、表示言語に従います。
-V, --versionバージョンを表示して終了(例:erya 1.0.0)。
--languages翻訳ディレクトリで実際に見つかった言語を 1 行ずつ「コードTab名称」で表示。
--keymap <ファイル>この実行だけ指定のキープロファイルを使います(4.1.5 参照)。パスが無いと失敗します。
--print-default-keymap既定プロファイル全体を標準出力へ。自分の設定ファイルの出発点にします。

よくある使い方:

  • erya --print-default-keymap > keymap.toml — 全操作名が入った雛形を作る。
  • erya --keymap keymap.toml 報告.txt — 編集した設定で開く。
  • erya --languages — ERYA_LANG に書くコードを確認する。
知らないオプションはその場で終了します

- で始まり上表に無い引数は「erya: 未対応のオプション:-x」と表示して異常終了します。無視して続行はしません。ファイル名がハイフンで始まる場合は先に -- を置いてください。

1.2.7

4 つの環境変数

どれも任意です。1 つも設定しなくても動きます。

変数役割参照
ERYA_LANG表示言語のコード(ja、en、zh-TW、zh-CN など)。未設定なら LC_ALL、LC_MESSAGES、LANG の順に見ます。4.2.4
ERYA_LOCALES_DIR翻訳ファイルのディレクトリ(既定は locales/)。自作翻訳を置く場所を指定します。4.2.5
ERYA_KEYMAPキープロファイルのパス。毎回 --keymap を付けるのと同じです。4.1.7
ERYA_KEYMAPS_DIRシステム設定(F2)が一覧に出すプロファイルの置き場(既定は keymap/)。4.1.3

1 回だけならコマンドの前に書きます:

  • ERYA_LANG=en erya 報告.txt — 今回だけ英語表示。
  • ERYA_KEYMAP=~/my.toml erya — 今回だけ自分のキー設定。

恒久的にするなら ~/.zshrc や ~/.bashrc へ(Windows はユーザー環境変数へ)。

1.2.8

ターミナル側の条件

必須は 2 つ:本物のターミナルであること、そして狭すぎないこと。

  1. 対話型ターミナルであること。標準入力と標準出力の両方が TTY である必要があります。パイプやリダイレクトにつなぐと即座に失敗し、「Erya は対話型ターミナルで実行してください」と出ます。cat a.txt | erya や erya > out.txt はどちらも不可です。フィルターではなくエディターだからです。
  2. 最低 24 桁 × 6 行。それより小さいと画面が黄色い 1 行「ターミナルが小さすぎます;ウィンドウを広げてください」に変わり、広げれば自動で戻ります。編集中の内容は失われません。実用上は 80×24 以上を。16 進数表示で 1 行 32 バイトにするにはさらに 144 桁必要です(3.3.3 参照)。
  3. できれば bracketed paste 対応を。最近のターミナルはほぼ対応しています。対応していれば、まとまった文字列の貼り付けが 1 回の貼り付けとして扱われます。Erya は起動時に有効化し、終了時に無効化します。
終了すると画面が元に戻ります

Erya はターミナルの代替画面を使うので、終了時に元の画面・カーソル・各種モードが復元され、スクロールバックに編集画面が残りません。異常終了時も復元処理は走ります。

1.2.9

起動できないとき

メッセージから探してください。詳細は 4.3 にまとめてあります。

表示原因と対処
command not found: eryaPATH に無い。フルパスで試し、動くなら PATH の問題です(1.2.3)。
Permission denied実行権限がない:chmod +x erya。
macOS:開発元を検証できない隔離属性:xattr -d com.apple.quarantine erya(1.2.3)。
cannot execute binary fileアーキテクチャ違い。uname -m で確認(1.2.2)。
対話型ターミナルで実行してくださいパイプやリダイレクト。直接実行してください(1.2.8)。
ターミナルが小さすぎます24×6 未満。ウィンドウを広げます(1.2.8)。
未対応のオプション:…綴り違い、またはハイフン始まりのファイル名。-- を付けます(1.2.6)。
… はディレクトリであり…引数がディレクトリ。ファイルを渡すか、起動後 Ctrl+O(1.2.5)。
キーバインドを読み込めないため既定値を使用します:…エラーではなく、そのまま動きます。設定ファイルに構文問題か競合があり、完全な既定値に戻したという報告です(4.1.8)。